館長あいさつ Message
館長紹介
川村 康文(かわむら やすふみ)
東京理科大学 理学部第一部 物理学科 教授
博士(エネルギー科学)
プロフィール
1959年京都生まれ
京都教育大学付属高校で物理教師を約20年務めた後、信州大学助教授、東京理科大学助教授・准教授を経て、2008年4月より現職。
専門は、STEAM教育、科学教育、サイエンス・コミュニケーション
はじめに
自ら考え自ら学ぶを実現する科学館こそ,北九州市スペースLABOがめざす姿です。これこそ、ものづくりの街・北九州市がもつDNAです。
人類の歴史は,実は発明と発見でつづられる歴史であります。太古より,人類は自然の猛威のなかを生き抜いてきました。そのためには,自然について五感を通してしっかり観察し知見を蓄え,次に起こることを科学的に予想し対応することでした。
大昔,人間は狩りをしたり森に食べ物を探しに行って生活をしていました。目を凝らしてまわりを探索することで,獲物をみつけたり,逆に外敵となる猛獣をみつけ身を守ったことでしょう。また耳をすまして,目でみえない敵の位置を知ったり,飲み水が流れるせせらぎをみつけたりしたことでしょう。ある時,森が火事になり,そのあと焼けた動物の肉を食べることで,お肉に火を通すといい匂いがして美味しく食べることができることを知りました。また,冬の寒さも火を焚き,暖を取ることを知りました。ものを持ち上げたときに重いのか軽いのか,どのくらいの勢いで投げたり飛ばしたりできるのか,熱いのか冷たいのか,つるつるなのかざらざらなのかなどなど,五感,すなわち視覚,聴覚,触覚,味覚,嗅覚をフルに活用して,きびしい自然のなかを生き,科学の世界のなかを冒険してきました。
夜空をみあげ,宇宙に思いをはせる中,星座の物語をつくり,暦をつくり,洪水のシーズンを知り,いつ種を撒き,いつ花が咲き,いつ実がなり,いつ収穫するのかを知り,なかまとコミュニケーションをするなかで社会性を育て,現代の高度科学技術文明社会を築き上げてきました。
科学の世界のなかを冒険することが大事です。大冒険です。なので,途中で困難に直面することもあるかもしれませんが,冒険家はめげません。宇宙のはてまでを見届けたい!
その先の未来に,科学のさらなる進化がきっと待っていることでしょう。
主な活動・著書
- みんなが明るく楽しくなる「プチ発明」を基礎とした「かわむらメソッド」を提唱
- サイエンス・レンジャー(科学技術振興機構)
- 「温暖化星人から地球をまもる宇宙船にっぽん号のたたかい」公演は、200回を超える
- 慣性力実験器Ⅱで平成11年度全日本教職員発明展内閣総理大臣賞受賞
- 平成20年度文部科学大臣表彰科学技術賞(理解増進部門)
- 著書「世界一わかりやすい物理学入門」、「世界一わかりやすい物理数学入門」、「理科教育法」(講談社)、「名探偵コナン実験・観察ファイル サイエンスコナン」シリーズ監修(小学館)など
- テレビ出演「世界一受けたい授業」(日本テレビ)、「チコちゃんに叱られる」(NHK)、「所JAPAN」(フジテレビ)など